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《なぜ今、社会福祉士を勉強…?》

〜受験資格か臨床経験か?〜

 社会福祉士は私が大学に入った頃にできたばかりの資格です。福祉の仕事に就きたいと思っていた私は、最初は社会福祉士を取得するつもりで勉強していました。福祉の授業は、将来支援職に就く人のためのものなので、もちろん出席が重視されます。教職課程も履修していた私は、バブル全盛期でありながら、真面目に大学に通い、朝早くから夕方遅くまで講義に出ていました。社会教育主事補と博物館学芸員の資格も取ろうと思っていたので、他の人よりたくさん授業や実習があり、一生懸命に取り組んでいました。

 

 ところで、社会福祉士を受験するには、規定の「受験資格」が必要なんです。

 

 今は18科目の単位が必要ですが、私が大学生のころは13科目の単位が必要でした。そのなかの必修科目に、「社会福祉援助技術現場実習」というものがありました。(今は「相談援助実習」という名称になっています)

 

 その実習は、実施する機関が限られていて、福祉事務所、児童相談所、老人施設など公的機関が、その機関となっていました。

 

 公的機関での実習は、実際のケースを担当したり、現場に行くことはほとんどなく、書類整理などが多いため、実習としては物足りない...という情報がありました。それを聞いた私は、やはり臨床現場で実習を受けたいと思い、民間の療育機関を希望しました。しかし、そこは社会福祉士の受験資格に該当しないところでした。受験資格を取るか、臨床経験を取るか...。それは、当時の私にとって、とても大きな選択でした。行きたい療育機関に行くと、社会福祉士の資格を諦めなければならなかったからです。

 

 自分なりに考え、悩みぬいた結果、福祉の仕事は人生経験を積んでから、結婚や出産を経てからの方が良い支援ができるのではないかと考えました。苦渋の決断で社会福祉士の受験資格を諦め、希望していた療育機関で実習をさせていただくことに決めました。

 

 でも今、支援の現場に身を置く人間として、やはり社会福祉士としての専門性が必要だと痛感しています。そこで、改めて社会福祉士にチャレンジしようと今年度から通信課程で勉強をしています。法改正などがあり、受験資格の必修科目が増えて大変ですが、なんとか単位を取って、2023年には試験を受けたいと考えています。

 

 ところで、私が実習でお世話になったのは、「ミード社会舘」の心理教育相談室という未就学児の療育をおこなっている機関でした。長期分散型で、毎週金曜日に丸1年間、実習を受けさせていただきました。朝の掃除、9時から夕方5時まで1時間に1ケースずつお子さんを担当し、セラピストと記録係を交互にしました。セラピストとしてセラピーを担当している時は、お子さんにつきっきりでセラピーをおこないました。記録係の時は、お子さんとセラピストについて回って、やり取りなどを詳細に記録しました。どういう場面で何をしたか、どんなやり取りをして、どんなリアクションをしたかなどです。セラピストも記録係もとても勉強になりました。

 

 お子さんがセラピーを受けている時、お母さんは先生とお話をしています。近況の報告、困りごとの相談などをされていました。話し終えて帰られるとき、ホッと安心した表情になっていらっしゃるのが印象的でした。先生にお話を聞いてもらうこと、困った時に適切な助言をしていただくことなど、保護者の方への支援の重要性をひしひしと感じました。

 

 利用者の方が帰られて、夕方からスーパーバイザーの佐久間徹先生(梅花女子大学教授)と支援者の先生方、実習生とでケースカンファレンスを持ちました。佐久間徹先生は臨床児童心理学者でABA(応用行動分析)の日本での第一人者であり、「フリーオペラント型ABA」の創始者の一人です。実践もさることながら、佐久間先生から、ケースカンファレンスでも多くのことを学ばせていただき、本当に感謝しています。社会福祉士の受験資格は失いましたが、この療育機関での実習で、子どもさんの成長を1年間も追いかけることができ、臨床現場での支援職のやりがいや喜びを感じました。

 

 そういうわけで、社会福祉士の通信課程で、今年度と来年度の2年間勉強します。無事に単位が取れたら、2023年の試験を受けることができます。まだ少し先になりますが、がんばって今度こそ資格を取得したいと思っています。

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